平成29年論文式試験 会計学(午後)

はじめに

今年の本試験についての個人的な感想を書いていきます。
あくまでも「感想」に過ぎないので、現在勉強されている方にとって
役立つ記事になるかは微妙です。

 

注意事項

※本記事は平成29年論文式試験の具体的内容に言及します。本試験問題を練習で解くつもりであるという受験生の方は注意してください。

※自己採点についてはTACの解答速報を主として参考にしています。

問題 計算編

公認会計士試験の山場と言える会計学午後の部、財務会計論。今年の問題の構成は、第3問(60点)が計算メインで理論が少し、第4問(70点)が理論オンリー、第5問(70点)が計算・理論が大体半分ずつという感じで、例年通りの内容でした。

計算に関しては、平成27年度試験から第3問の方が解きやすい、とらなければいけない内容で、第5問の方はかなり難易度が高い問題であるという傾向があります。

今年もその傾向は同じで、第3問のリース会計企業結合(合併)はわりと解きやすく、第5問の連結(包括利益は難しいという感じです。しかし、第5問の問題に関していえば、昨年、一昨年の問題が壊滅的に難易度が高いという印象がある中で、今年の問題はそこそこ点を取りに行ける、少なくとも全くの没問にはならないという難易度で、ある意味良心的な内容だったといえます。(とはいえ、かなり難しかったですが・・)

 

では、計算問題に関して内容を見ていきます。

まず、第3問小問1のリース会計。かなり解きやすい問題でした。管理会計の方もそうでしたが、一番最初に解きやすい問題を配置しているのは、受験生への思いやりなのかなという印象があります。計算は多くの人が取れる内容だと思います。唯一、⑥の仕訳名に関しては見慣れないものでしたが、まぁ没問なのかなと。

この問題は、短答式試験受験生の方も、練習問題として十分解けると思います。

次に、第3問小問2の合併の問題。これも、まぁそこまで難しくはないという内容だと思いました。ただ、のれんと資本金に関しては、合併仕訳がすべて正しくないと間違えてしまうため、とれていればアドバンテージという感じだと思います。

あと、ちょっと細かいことなんですが、⑧で自己株式の数値が問われていますが、本試験においてはこういうなぜここを聞いているんだろうという問題がでることがあります。本問においては、合併に際して取得会社が自己株式の処理をしているわけではないので、自己株式の数値はA社の5,500という数値をそのまま持ってくるだけで正答となります。なので、なぜここをわざわざ聞いているのか個人的にはかなり謎です。

何が言いたいのかピンと来ないよと思われる方もいらっしゃるでしょうが、例えば、予備校の答練等では、問われている箇所は何らかの論点を含んでいるのが当たり前なのです。しかし、本試験ではこういうなんでもないようなところが問われることもあるので、不思議だなと、そういうことが言いたかっただけです。少し細かすぎて伝わらない話かもしれませんが・・・

最後に第5問の計算部分。平成27年度は「利益剰余金の精算表」、平成28年度は「IFRSからの修正」とかなり難易度の高い問題が出題されていましたが、今年はわりとシンプルに連結財務諸表の数値を聞く問題でした。

とはいえ、子会社取得時の未認識数理計算上の差異とか、関連会社の段階取得と間接所有を絡めた論点とか、おそらくどの予備校でも扱っていない論点が含まれており、解ける部分と解けない部分を冷静に見極める能力を試される問題でした。なので、昨年・一昨年のように全体が壊滅的でも合否に影響なし、とならないだけ、ある意味しんどい内容だったとも捉えられます。

問題 理論編

理論問題は例年通り、あるいは少し難化したかなという印象です。ある程度典型論点と言えるような問題がありつつ、没問になるくらい難しい問題もある。ただ一点、第5問において計算と絡めた問題が出ているのが少し特徴的なのかもとは思いました。

また、理論オンリーの第4問では、かなり分かりやすく前半が簡単で後半が難しいという配置になっていたのが印象的でした。これもまた、一応受験生に対するサービス精神なのか、よく分かりませんが、わりと順番通りに解いていけばいいよという内容にしてくれているのかも知れません。

感想 自己採点 予想

計算に関しては、第3問はリース会計の⑥以外完答。第5問については、問題1から問題3までの38問中20問正解という感じでした。問題3の部分だけでいえば、26問中12問正解。主にP/L・B/Sの数値で稼いで、包括利益計算書とS/Sはほぼ壊滅的といった内容です。

一方、理論に関しては、典型論点はわりと書けたと思いますが、全体としてそこまで振るわない内容かなと。正直かなり難しい問題も多かったので、実質没問と化したところが多いとは思うものの、何とも言えない出来です。

理論部分がどのような結果になるかが分からないので、偏差値予想が難しいですが、計算部分でのアドバンテージと、管理会計の出来がそこそこ良かったので、会計学全体としての偏差値は50台の半ばだと予想します。

※予想と実際との比較は合格発表後に書いてみるつもりです。