平成29年論文式試験 企業法

はじめに

今年の本試験についての個人的な感想を書いていきます。
あくまでも「感想」に過ぎないので、現在勉強されている方にとって
役立つ記事になるかは微妙です。

 

注意事項

※本記事は平成29年論文式試験の具体的内容に言及します。本試験問題を練習で解くつもりであるという受験生の方は注意してください。

※自己採点についてはTACの解答速報を主として参考にしています。

問題

論文式企業法では、特定の分野が周期的に出題される傾向があるため、予備校の事前予想では「組織再編」が今年熱い論点と言われていましたが、実際の出題は、第1問が「株式」、第2問が「役員等の責任」「株主代表訴訟」でした。

毎年の出題構成は「機関」の分野+他の分野という形であることが通例です。第2問が「機関」の分野に該当していると思われます。また、第1問については、昨年の本試験で「種類株式」が出題されていたため、2年連続で「株式」の分野が出たことになります。この点については、「株式」の分野は「機関」の分野と同様に企業法の基礎をなす重要テーマであるため、周期的に出題されるというよりは毎年問われてもおかしくはない分野である、ということが明示された形になりました。

では、各問見ていきます。

まず、第1問の「株式」。小問1が株式名義書換え(130条)を中心とした話で、株式名義書換えの不当拒絶についての論点を含む内容。小問2が利益供与(120条)の問題でした。

このうち小問2については、実はTACの直前答練でかなり近い問題が出ており、論点(「蛇の目ミシン株主代表訴訟事件」を元にしたもの)について、TAC受講生なら多くの人がうまく処理できたのではないかと思います。

第1問全体の難易度は標準的だったと思いますが、前年に「株式」の分野が出題されていることもあり、この分野への対策がやや不十分だった受験生もいるかもしれません。そのあたりが勝負の分かれ目になる可能性もあります。

 

次に第2問ですが、問題の流れは、①会社法423条1項の責任を当てはめる、②株主代表訴訟について説明するというもので、会計士試験企業法の中では、わりと典型的な問題なのかなと。TACの答練でも類問の出題はありましたが、他の予備校でも一度は出題されているような問題形式ではないかと思います。

ただ、本問ではプラスαとして、①では362条5項(取締役会による内部統制システムの決定)、②では基本となる847条ではなく、847条の3(多重代表訴訟)を問うというような応用的な内容もあり、この辺の知識の差がそのまま得点の差に表れるのかなと思われます。

感想 自己採点 予想

第1問は前述のとおり、小問2がTACの答練でカバーされていたこともあり、そこそこの出来だと思います。第2問については、プラスαの内容について、①は一応書けたという感じで、②の方は847条の3に着目するということはできたものの、細かい当てはめがやや不十分かなという感じです。

企業法は、監査論と同じく自己採点はあまり出来ない科目ですが、全体としてそこまで大きく外した感じはないので、偏差値予想は50台半ばとします。